東京女子大学 現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻

国際英語特別留学(Study Aborad) 報告

国際英語専攻3年 高橋千尋

・はじめに

私は2年次後期から1年間の国際英語特別プログラムでカリフォルニア州立大学サンマルコス校(CSUSM)に9ヶ月間留学しました。前半は語学+学部授業、後半は学部授業を履修しました。今回の留学以前は、短期留学などの海外経験がなかったため、海外に住むという未知の経験に対する出発前の不安は非常に大きかったですが、すぐに現地の生活に慣れ、充実した日々を過ごすことができました。コロナウィルスの影響を受け早期帰国したことも含め、毎日が他に代え難いほど貴重な経験だったと感じています。

アメリカに到着後はすぐにSAFで手配された車で寮に向かいました。サンマルコスは、気候が良く自然豊かでとても過ごしやすい地域です。夏の日差しは強いので、サングラスなどの対策が必要ですが、カラッとしていて日本の夏よりも断然過ごしやすいです。冬は、朝晩は冷えるものの日中は暖かい日が多く、2月ごろに25℃まで上がったこともあります。買い物には困らない程度の程よい田舎でしたが、車ですぐにビーチやハイキングに行ける点はすごく新鮮でサンマルコスに来て良かったと実感しました。

・寮生活

寮のルームメイトは、現地学生6人と他大の日本人留学生1人でした。寮に住む現地学生は一年生が多く、私のルームメイト6人とも一年生だったため一緒に新生活を始めたような感覚でした。私も日本では実家暮らしなので寮生活を通じて生活力が身につきました。8人でキッチンとリビングをシェアし、2人ずつベットルームとバスルームが割り当てられました。私が共有していたのはカリフォルニア出身の現地学生でした。彼女はとても明るく元気で、またリーダーシップがあり私たち8人をまとめてくれる存在でした。2人部屋で生活することに不安がありましたが、シャワーのタイミングや寝る時間などお互い気を遣い合ったので、嫌な思いをすることはほとんどありませんでした。むしろそのルームメイトとは一番仲良くなることができ、日頃から一緒に買い物やジム、食事に行ったりしました。よく美味しいお菓子や人気のコスメなど教えてくれて、年下でしたが姉のような存在でした。冬休みには彼女のサンフランシスコ近くの実家に招待してくれて、数日でしたが家族とともに過ごすことができました。

寮でアメリカの伝統的なイベントを体験するのは難しいだろうと思っていましたが、サンクスギビングは知り合いに招待してもらい大家族の中に紛れて1日を過ごし、クリスマスはホームステイをしていた東女の子の家に招待してもらうことができました。ホームステイとは異なり、こうした休日に一人になってしまう可能性があるので自分から動く必要がありますが、留学生なので寛大に受け入れてくれる場合がほとんどでした。

 

・学生生活

学期開始最初の週は留学生のためのオリエンテーション期間でした。クラス分けのテストだけでなく、交流の場も設けてくれました。 CSUSMには日本人が多かったので英語を話す機会を作るために、教室が開くのを待っている間や休み時間などに留学生に話しかけ、友達作りを積極的に行いました。また、新入生のウェルカムパーティーなどもキャンパス内や寮内で多く開かれ、夜まで楽しく過ごしました。

その後もCSUSMはイベントが多く、毎日のようにお昼休みに様々な団体が活動をアピールするとともに、ピザやドーナツ、コーヒーなど配っていました。放課後に開かれているものもあり、積極的に参加することで友達の輪を広げるきっかけを作れるように努力しました。またインターナショナルコーヒーアワーやハロウィンパーティーなど留学生のためのイベントも数多く開催されていました。金曜日の夜には、学校近くに留学生が集まるイベントが多くあり、よく参加していました。また、大学が提供するアウトドアアクティビティーを体験できるプログラムを利用してサーフィンをしました。ボランティア活動にも力を入れ、障害を持つ方々と一緒に壁画を作る活動や、浜辺のゴミ拾いなども行いました。

・授業について
〈学部プログラム〉

前半は語学の授業が朝から夕方まで毎日授業がありました。またクラス分けテストの結果、学部授業を1科目履修できることになり現地の一年生の必須科目である教養の授業を履修しました。元々はアフリカン・アメリカンに関する授業かジェンダーの授業を希望していましたが初回の授業に参加したところ、あまりの難しさに恐怖を覚えてしまいました。授業中は担当の先生からの指示が聞き取れず、他の生徒が小さい紙に何か書き始めたけれど何をかけば良いか分からず焦り、先生にも聞けず、勇気を振り絞って隣の子に聞いたところ教えてくれたものの、書く内容が思いつかず更に焦りました。授業後はすぐに留学生支援室に駆け込み、話をしたところ我慢していた涙が溢れ出ました。授業のレベルの問題だけでは無く、無意識に感じていた留学のストレスや不安が重なったからだと思います。先生方のおかげですぐに気を取り戻すことができましたが、この日に初めて留学の辛さを感じました。しかしチャンスを無駄にしたくないと思い、教養の授業を試しに受講させてもらったところ自分に合った最適なレベルだったので、履修を決めました。

元々学部用のIELTSのスコアは取得していましたが英語力(特にスピーキング)に不安があったことと、1年間の留学なので前半は現地に慣れ課外活動をたくさんしようと考えていたので語学プログラムを選びました。学部留学に比べて語学プログラムの良さは、留学生との交流が増えること、留学生同士で切磋琢磨できること、自己主張しやすい環境にあること、先生が親身なところだと感じました。計画通り、課外活動を通じて実践的な英語力を身につけることができたと思います。修了セレモニーでは、先生方から見てよく頑張っていた生徒に贈られるOutstanding Student賞を頂きました。努力が認められた気がしてとても嬉しかったです。

 〈学部授業〉

後半は全て学部授業を履修しました。前半に1科目経験していたため、問題なく授業についていくことができました。受講科目の中で一番自分の成長につながった授業は、パブリックスピーキングでした。語学の授業でもスピーキングはありましたが一番の違いは現地学生がいることです。私は、留学生とは英語をうまく話せるのに英語の母語話者と話すときに緊張することがよくありました。それを克服するために受講し、毎週のようにクラスメイトの前でスピーチをしました。即興スピーチをするときもあり、緊張しましたがこの授業のおかげで自信持って英語を人前で話す度胸がついたと思います。語学授業に比べて難しい課題も多かったですが、授業数は減ったのでなんとかこなせました。また、日替わりでヨガやズンバなど様々なエクササイズのクラスが無料で開催されていたので積極的に参加しました。

3月後半、コロナウイルスの流行が深刻化し、履修していたグローバルスタディーズの授業では毎回のごとく議論しました。他のカリフォルニアの大学がオンラインに移行し始め、私の地域で感染は確認されていませんでしたが、とうとうCSUSMもオンラインに移行するとメールが来ました。寮に叫び声が上がるほど現地学生は大喜び。その一方で私たち留学生にとっては悲報でした。帰国か残るかの選択肢が与えられましたが、私は少しでも長く滞在したく、オンラインでの学習を続けていました。でも、しまいに、ルームメイトは次々に実家に帰ってしまい1人残されました。同じような境遇の留学生と話すことはありましたが、学校に行けず、ルームメイトもいないと英語を話す機会が急激に減りました。お店も次々に臨時休業しファストフード店はテイクアウトのみ、スーパーは入店制限などの取り組みがいち早く行われ、対応の早さに驚きました。日本と同じようにトイレットペーパーなど買いだめが起こり、スーパーは品薄になりました。すでに国境を遮断されて帰国できない留学生もいて、お互い励ましあっていました。しかし飛行機の便が徐々に減り始め、事態が深刻化し、苦渋の決断の結果、4月に帰国しました。帰国後は日本でもオンライン授業を続けましたが、時差があるため朝の3時半から9時半まで授業を受けるというイレギュラーな生活を送りました。

・最後に

留学中に大切にしていたことは、現地でしかできないことをできる限り経験することです。もちろん授業もそうですが、勉強だけでは終わりたくなかったので「ハングアウト」することに重きを置いていました。他の国からの留学生、現地学生と一緒にジムに行く、勉強する、寮に招いてご飯を一緒に作る、遊びに行くなどの機会をたくさん作りました。その結果、英語を話す頻度が増えただけでなく、相手のことをよく知ることができて、表面的ではない友人関係を築けました。アメリカのコロナウィルスの影響を生で感じたこと、また日本でアメリカのオンライン授業を受けたこともある意味良い体験だったと感じています。

現在は、英語キャリアコースで翻訳を中心に学び、日本語教員養成課程生として日本語教育を学んでいます。世界と日本の結びつきをもっと身近で良いものにするために、留学経験を生かしてこれからも学習を続けたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

1. 終了セレモニーにてルームメイトと

 

 

2. 近くの有名な海(オーシャンサイド)にて