国際英語特別留学(スタディ・アブロード)報告
国際英語専攻3年 伊藤恭子
私は、9月から12月までの4ヶ月間、カナダの東にあるハリファクスという街に語学留学しました。ここは、東京都の人口の約20分の1しか人がいないという、非常に小さな街でした。出発する前、東京で生まれ育った私には想像もできませんでしたが、人が少ない分、人の暖かさや自然の綺麗さを手に取るように感じ取ることができました。
そんな生活の中で、私が一体何を感じたのか、どのような人たちと出会ったのか、そして何を学んだのかを、私が当時書いた日記を参考にしながら、みなさんにお伝えしていきたいと思います。
2019年8月31日。
ついにこの日がやってきた。
不安と興奮の入り混じった、複雑な気持ちを抱えながらの出発。
私の最初の出会いは、飛行機で隣に座っていた広島大学の3年生。彼女も同じく留学に行くらしく、フライト中2人で不安とワクワクを共有した。留学への期待が高まる中、暗くなった機内で眠れずに、だんだん不安の方が大きくなってきた。頭の中で、何度も英語で自己紹介の練習をしながら眠りについた。
2019年9月1日。
不安と興奮の入り混じった複雑な気持ちを抱えながら、やっとカナダに到着。
学校から迎えに来てくれていた車に韓国人の女の子と一緒に乗って、ホームステイ先へ。運転手さんが、ハリファクスには湖が沢山あるよ、ここは紅葉が綺麗なんだよ、と色々なことを教えてくれた。心の中には、本当に綺麗ですね!ここからホームステイ先までどのくらいかかりますか?と言いたいことがいっぱい浮かんでくるのに、口からはなかなか出てこない。なんでこんな簡単なことも言えないのかと自分が情けなくなった。
ホームステイ先は、ナディアという女性のお家。一軒家に一人暮らししていて、空き部屋で留学生を受け入れたり、Airbnbで貸し出したりしているらしい。
“Welcome to Canada~~~!!!” と大きなハグで迎え入れてくれて、緊張が解けて、嬉しくて、泣きそうになった。
よし、これからここで頑張ろう。そう思った。
2018年9月3日~12月18日。
いよいよ授業開始!!
私のプログラムは夏から秋、そして秋から冬の2学期間、セント・メリーズ大学に付属している語学学校での授業だった。レベルが1から6まであって、最初に受けたテストによって振り分けられる。私は、レベル4だった。まぁ、レベルがどうであれ、全力を出し切って最後までやり遂げることが大切だ、とレベル5にいけなかった悔しい思いをやる気に変えた。
私の目標は、
⓵とにかく英語を話す
⓶授業以外の活動に参加する
⓷友達を沢山つくる
ということ。小さな目標しかないが、私が毎日継続できるだろうと思ったことを目標にした。これらの目標を達成するために、それぞれの目標に対して私がやっていたことをまとめてみた。
⓵とにかく英語を話す
これに関しては主に2つのことをやっていた。
1つ目は、日本人の友達とも英語で話すこと。私がいた語学学校は、ほとんどが日本人でクラス全員日本人というクラスもあったほどだった。そんな中でも私は、英語で話すことを心がけて過ごしていた。時には、どうしても日本語になってしまうこともあったが、だんだんと英語を使っての会話に慣れていった。
2つ目は、バス停で知らない人に話しかけること。なぜなら、ハリファクスではバスを待っている間に初対面の人と会話するということが日常茶飯事だったため、良いチャンスだと思ったのだ。
ここで1つ、私の恥ずかしいエピソード。
ある日バスを待っていた時、後から来たおじいさんに、”How long have you been here?” と声をかけられた。留学に来てから、「いつからカナダにいるの?」と何度も質問されてきた私は、元気に、 “Two months!!” と答えた。すると彼は、眉をひそめて言った。
” I mean...here.”
あ、なるほど。何分バスを待っているのか聞いていたんだ。私はとっさに、”Oh..10 minutes.”と笑いでごまかしながら言い直した。まぁ、こんな風に恥ずかしい失敗もしながら、めげずにバス停で知らない人と話すことを続けた。
その結果、最後の方には、毎朝同じ時間のバスに乗っていた女性と仲良くなり、毎朝おしゃべりしながらバスに乗っていた。
⓶授業以外の活動に参加する
私が参加したのは、任意で参加できるボランティア活動。私は、日本でもラオスに教育支援する学生団体に所属しているので、迷わずに参加した。ここでの活動は、週に1回、様々な場所でボランティアをするというものだった。私が行ったのは、Food bank(貧しい人に無料で食べ物を配る所)、SPCA(動物保護をしている非営利団体)、YouthNet(子供達が学校外で友達や大人と触れ合える機会を提供している非営利団体)だ。
全ての活動を通して学んだことは、どこの国でもみんなが当たり前にご飯を食べることができて、生活できているわけではないということだ。最初は、ハリファクスにボランティアが必要なのかとさえ私は思っていた。しかし、少し視点を変えてみれば、苦しんでいる人たちがいて、それを支援しようと無償で支えている人たちがいるのだ。これは、みなさんが住んでいる日本も同じだということを忘れないでほしい。これらのボランティア活動を通して、英語を学びながらも今までの自分の視野の狭さに気づき、新たな世界の見方を学ぶことができた。
⓷友達を沢山つくる
私が友達を作るためにしていたことは、「とりあえず誘われたら行ってみる」ということ。そして私は、大学のイベントに参加したり、近くの図書館で定期開催されていた韓国語教室に行ったりしていた。大学のイベントというのは、アップルピッキングやハロウィンパーティーなど、韓国語教室は主にカナダに留学できている韓国人が、カナダ人や韓国語を学びたい人たちに韓国語を教えるという場だった。
これらに参加してよかったことは、学校内では出会うことのない年齢の人たち、そして私の学校には少なかったネイティブの人たちと知り合えたということだ。やはり、ネイティブの人たちの話すスピードは学校内にいる人たちの倍以上。会話を聞き取るので精一杯になってしまい、自分の話をする隙なんてなかった。それでも、日本に興味がある人たちも多く、日本のことについて聞かれたり、行ったことあるよ!と日本の好きなところを沢山聞かせてくれたりもした。これらの経験から、ついていけない、話せないと落ち込まずに、聞き取れているなら上出来だ!と自分を励まし、日本の話題が出たら飛びついて、そこから会話を膨らましていくのがとっても大事だということを学んだ。
このように、初めは小さな目標でも、それらを達成するためには様々な努力が必要で、そうしているうちに、いつの間にか色々な経験をし、自分の成長に繋がっているものなのだということを身にしみて感じた。なので、先ほども伝えたが、無理に大きな目標を立てず、楽しみながら継続して自分がやれることを目標にすることをお勧めする。
2019年12月20日。
そんなこんなで毎日を過ごしていたら、あっという間に帰国の日。
いつの間にか見慣れてしまった、広くて綺麗な空、素敵な町の風景、そして大好きなクラスメイトに別れを告げ、日本に帰ってきた。東京とは真逆の環境で約4ヶ月間過ごした私は、今までは見えなかった人との繋がりの大切さ、自分の努力次第で自分の可能性を広げることができるということを学ぶことができた。
日本に着いて、家族や親友に会い、日本料理を食べ、久しぶりに人混みの中を歩き、前よりも日本のことを好きになっている自分を見つけた。これはおそらく、約4ヶ月間海外から日本という国を見ていたからだと思う。留学という経験は、私の視野を広げてくれた、とここでも実感した。
2020年6月26日。
私は、帰国してから約半年経った今、記憶を掘り返しながらこの文章を書いている。書き出したら止まらなくて、ここには収まり切らないくらい素晴らしい経験をしたのだと改めて実感している。初めは、4ヶ月なんて短すぎて英語の能力なんて変わらないと思い込んでいたが、帰ってきて受けたTOEICの点数は留学前と比べて140点上がり、900点を獲得することができた。そもそもTOEICの点をあげるといことは目標にしていなかったが、小さな努力を積み重ねることによって大きな変化を生み出すことができたのだと思う。
ハリファクスで過ごした日々は、私を強くし、ぐんと成長させてくれました。留学に行く期間なんて関係ありません。自分の努力次第で、それぞれの留学を素晴らしいものにしてください。来年、そして再来年、みなさんの留学体験記を読むのを楽しみにしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
語学学校のクラスメイト、先生とお別れの前に。
フォートニーダム記念公園(Fort Needham Memorial Park)にて。