東京女子大学 現代教養学部 国際英語学科 国際英語専攻

国際英語特別留学(Study Abroad)報告

国際英語専攻3年 佐藤麻衣

 

<はじめに>

 私は、2019年8月から2020年5月まで、アメリカ合衆国のアーカンソー大学に学部履修プログラム(語学科目付き)で留学しました。アーカンソー州はアメリカの南東部に位置する州で、たくさんの自然に囲まれており「自然の州」と呼ばれるほどです。東京とは真逆の、自然がいっぱいのアーカンソーでしか得られない数多くの貴重な経験をすることができました。新型コロナウイルスの影響で早期帰国しましたが、最後までプログラムをやり遂げたいと思い、帰国後も留学先の勉強を続け、無事予定通りに修了しました。このレポートでは、私が留学したアーカンソーという地についてだけでなく、現地での生活や、留学を通して得たことなど、幅広く記してみます。 

<アーカンソーについて>

 乗り継ぎを含め、約15時間かけてアーカンソーに到着しました。空港に降り立った時の衝撃は今でも忘れられません。アーカンソーは東京とは全く違う田舎の街で、空港からキャンパスに向かうバスの中から馬や牛を何頭も飼っている家がたくさん見えました。また、その大きさも日本に住んでいる限りは目にすることがないくらい大きく、東京の景色との違いにただ目を丸くするばかりでした。

 しかし、日々を過ごしているうちに「自然の州」アーカンソーの魅力にたくさん気付きました。気候もあまり日本と変わらないため過ごしやすく、山、川、湖など豊かな自然に囲まれて過ごすことができたのは貴重な経験でした。日没時には美しい夕焼け、夜にはきれいな星空を毎晩のように見ることができるのは、アーカンソーの魅力のポイントです。

 また、アーカンソーは世界最大級のスーパーマーケットチェーンであるWalmartの発祥地でもあります。Walmartの第一号店はベントンビルという街にあり、そこにはWalmartの歴史を知ることのできる博物館もあります。私も一度訪れましたが、第一号店がほぼ当時のままのサイズ感で残されており、それが今では世界中に名をはせる有名なスーパーマーケットチェーンに成長したことに感動しました。

 そして、クリスチャンが多いのも特徴と言えます。アーカンソーはバイブル・ベルトと呼ばれる地域の中にあり、プロテスタントを信仰している人々が多くいます。キャンパスの付近には教会がたくさんあり、日曜日にはよく友人に教会に連れて行ってもらいました。クリスチャンのコミュニティなどを通じて、心優しいクリスチャンの友人がたくさんできました。また、週に1回バイブルスタディ(聖書の特定の節を一緒に読んで意見交換などをする勉強会)にも参加していました。英語を話す機会を増やすことが主な目的でしたが、東女でキリスト教学を学んでいたので、その知識を活かすことができました。

 <現地での生活について>

・キャンパスライフ

 到着して2日目からは、学内にある寮に滞在していました。2人部屋なのですが、秋学期はルームメートがおらず一人で部屋を使っていました。しかし、春学期から韓国人のルームメートが来て、お互いの国の文化について話したり、ご飯を一緒に食べたり、週末には一緒に遊びに行ったりしました。私にとってルームメートを持った経験は今まで無かったので、うまくやっていけるか初めはとても不安でしたが、2人で掃除や帰る時間などのルールを作ったり、お互いにたくさん話すことで信頼関係を短期間ながらに築くことができました。新型コロナウイルスの影響で、実際に生活を共にしたのは3か月ほどでしたが、お互い帰国したあとも連絡を取り合っていて、今でも仲の良い友人の一人です。

 ・休暇について

 秋学期中には2つの大きな休暇がありました。まず、秋休みには友人とフロリダにあるウォルトディズニーワールドに行きました。留学中にアメリカの本場のディズニーに行けたことは本当に貴重な経験でした。また、サンクスギビングブレイク(感謝祭休み)には友人の家で料理を振舞ってもらったりして、アメリカの文化を肌で感じることができる良い機会でした。秋学期が終わった後には約2週間の冬休みがありました。私はアメリカの西海岸の都市をいくつか巡りました。全てが初体験の2週間で、友人と共に素敵な思い出を作ることができました。

 <現地での授業>

 秋学期は、現地に到着して2週目から授業がスタートしました。東女のキャンパスのサイズ感に慣れきっていた私は、初めは教室の場所が分からず右往左往していたのを覚えています。キャンパスだけではなく、授業のスタイルも日本とは大きく異なり、特にグループワークの機会が日本の大学と比べて圧倒的に多いと感じました。授業内でもちょっとしたトピックでディスカッションが行われたり、授業によってはグループでプレゼンテーションをしたりと、全体的にクラスメートとコミュニケーションを取る場面が日本にいた時よりもずっと多く、人前で英語を話す機会もたくさんありました。以前は人前で話すことがとても苦手だったのですが、留学を通してかなり克服できました。

 3月の中旬に、新型コロナウイルスの影響で全授業がオンラインに切り替わりました。現地の学生はほとんど実家に帰り、留学生の友人も多くは早くに帰国してしまいました。授業でできた友人や教授に直接会うことが突然できなくなってしまったのはとてもショックでした。また、キャンパス内の食堂やカフェが閉まったり、キャンパス周辺のご飯屋さんもテイクアウトのみの対応となったりと、フェイエットビルの街が、突如寂しくなってしまいました。私も感染のリスクを恐れ、オンライン授業に切り替わってから2週間ほどして帰国しました。幸い私が履修していた授業はほとんど時差の影響を受けなかったので、帰国後も自宅で勉強を続け、無事修了することができました。

 <留学を通して得たこと・学んだこと>

 留学で得た学びというのは、語学力だけではないということを強く実感しました。英語はあくまでツールであり、当然ですがアメリカで英語を話すことは日本で日本語を話すのと同じことで、英語を話すことをベースとして、その上で学んだことがたくさんありました。私が語学力以外で学んだことは大きく3つあります。

 1つ目は、カルチャーショックを通して動じない寛容な心が身に付いたことです。日本では通じていたことがアメリカでは通じないということは当たり前で、日常生活から授業内で起こった事件まで、カルチャーショックに打ちひしがれる日々でした。「世界には色々な人たちがいる」ということは頭の中では分かってていたものの、留学を通してそれを肌で実感し本当の意味で理解できました。多少のトラブルでは動じない心が育ち、他人を受け入れ、許すことが出来る幅がぐっと広がりました。

 2つ目は、世界から日本を改めて見ることで複数の発見があったことです。私は長期間海外に滞在するのはこの留学が初めてだったので、日本という国を外から客観的に見つめ、日本の世界に誇るべき点、改善されるべき点の両方を知ることができたと思っています。

 3つ目は、留学を通して、自分の自分が知らない一面を知ることが出来たことです。例えば、私は初めアメリカで生活していけるかどうか不安に思うこともありましたが、実際に住んでみると(周りの友人や環境のおかげももちろんありますが、)思っていた以上に過ごしやすく、意外と私はどこにいてもやっていけるのかもしれない、という自身の順応力に気付き、それが自信につながりました。また、英語力を上げるために私は英語を積極的に話すことを心掛けていました。その結果、文化や国の垣根を超えた柔軟性のあるコミュニケーション能力が身についたと感じます。

  

<最後に>

 昨年の夏に日本を発ってから一年が経過しました。アーカンソーで学んだこと・得たことは、これからの自身のさらなる成長に活かされなければ意味がありません。どのような場面で、どのように活かすべきなのかを考え、実践していく必要があります。一方で、この9か月の刺激的な留学を経ても、自分の中で変わらなかった価値観や考え方もあると分かりました。その部分は自身の揺るぎない軸の一つであり、これからも変わらない私の個性であると知りました。私は現在就職活動を少しずつスタートさせていますが、留学を通して、就職活動だけでなくさらに先のキャリアにも活かせる経験をすることができたと改めて実感しています。もちろん語学力もそうですが、私がアメリカで培った柔軟性やコミュニケーション能力は、業界や職種を問わず必要とされるスキルであると感じます。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

これは、現地でできた友人たちとハイキングに行ったときの写真です。アーカンソーの自然を堪能できました。

この写真は、私が2学期目に所属していたバンドの発表会の時に撮った写真です。アメリカでも音楽を体験できたのは貴重な経験でした。